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東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学研究系共通科目 環境デザイン総合教育プログラム建築環境設計演習 IEDP:Integrated Environmental Design Program


by architectstudio

スタジオ概要

東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学研究系共通科目
環境デザイン統合教育プログラム建築環境設計演習 IEDP: Integrated Environmental Design Program
建築環境デザインスタジオ2010 Architctural Design Studio2010

専任講師:大野秀敏+清家剛+日高仁
特別講師:小嶋一浩+貝島桃代+吉村靖孝+小西泰孝
08-10共通テーマ:「empowerment of the suburbia/郊外の梃入れ」

課題 多世代の住民が住み続けられる郊外の第三のビルディングタイプ
背景
郊外が、都市、建築の専門家(建築家、都市計画家、社会学者)から問題点を指摘されています。(いわく郊外は均質だ、ファスト風土だ、希薄な人間関係の温床だ、ワイドショーとショッピングモールが支配する退屈な空間だなどなど)。しかし、現実には、大都市でもほとんどの人が郊外に住んでいるうえに、地方都市では都心が消滅し都市全体が郊外化しようとしています。一度は郊外は素晴らしいと誘われて郊外に居を定めた住人たちは梯子を外されたような気持ちのはずです(サイレントマジョリティ)。せいぜい80年程度の歴史しか刻んでいない日本の郊外の可能性をこんなに早く見切りをつけて良いのでしょうか。
確かに、コンパクトな都市形態は環境的に優れていますし高齢化にも対応しやすいことは事実です。しかし、そのことは低密度の郊外がサステーナブルになる途がないということではないでしょう。しかも、日本の郊外は世界標準からすれば相当高密ですから、密度はさして問題ではないかもしれません。むしろ、郊外の大きな問題は、一つ目は自家用車無しでは暮らしが成り立たない空間構造、二つ目は、核家族には住みやすいものの、ひとたび高齢になり、更に単身となると途端に住みにくくなる社会・空間構造でしょう。それは単純化して言えば、現代の日本の郊外には、戸建て住宅(それを立体化したマンション)とショッピングモールの二つのビルディングタイプしか無いからではないでしょうか。
この課題では、こうした郊外の問題を解決する一つ解決方として、第三のビルディングタイプのあり方を検討します。

課題対象地
対象地域は東急柏ビレジとし、同地域内に、高齢者の住み替え促進のための集合住宅を設計します。
東急柏ビレジは70年代末に整備された戸建て住宅地で約1600戸の戸建宅地です。クルドサック方式を取り入れた比較的ゆったりとした街路や良好な周辺環境が独特の魅力を持っています。マスタープランは宮脇檀(みやわき・まゆみ1936-1998)氏。
デザインガイドラインを定め、良好な環境を売り物にした住宅地ですが、住民の方々によるアンケート(別途資料参照)からも、地域内の高齢化が徐々に進んでいる状況がうかがえます。地域の住民の更新もそれほど進んでいないということで、今後、住宅地全体の魅力をより高めるアイディアが求められています。
また、TX沿線の住宅整備の進行や周辺地形の高低差、最寄駅からの距離などの要因からか、中古戸建て物件としては、首都圏では比較的リーズナブルな価格帯となっており、若い住宅購買層にも魅力的なエリアであるといえます。さらに、柏地域の「国際キャンパスタウン構想」などのもと、国内外の学生や研究者などの住宅需要を満たすという新しい可能性も考えられます。
一方で、地域住民の方々の環境への関心も高く、UDCKで公開形式で行っている都市環境デザインスタジオなどにも積極的に参加いただいています。また、コミュニティルームはなみずきなど、地域のコミュニティの核となる活動も見られます。

設計対象:単身住宅+コミュニティ・ダイニングの複合施設
1)高齢者がよりコンパクトで安価な住居に移住することで経済的な負担なしに、地域内で住み替えることができる集合住宅のデザインを行ってください。元の住居を売却あるいは賃貸とすることで老後をゆったりと暮らせるプランを考えます。これによって、広い住居に独居、孤立した生活から生活の一部を共有する開かれたライフスタイルに変化させることができると考えています。
2)2宅地を敷地とし(収支計算書では合計114坪程度としています)20㎡の居室13戸程度、コミュニティレストラン60㎡程度、共用スペース30㎡程度のプログラムとします。その他の設定は自由です。
3)高い環境性能を備えた建物を構想し、具体的な工夫をしてください。
4)敷地周辺の環境を一体的にデザインし、施設にその他公益的な機能(ネットワーク型公益サービスなど)の併設なども検討してください。特に、高齢者のためのバリアフリーなどの計画に配慮して下さい。
5)柏ビレジ自治会を中心とする住人の方々に「仮想クライアント」になっていただき、プロジェクトへの要望や意見などを頂きます。
6)参考として収支計算を添付します。(選択する敷地に応じて、面積や収支の設定を各自行ってください)
その他条件:
現況の都市計画に準じた計画を行う(都市計画図準備)
地域には建築協定が定められており、住居以外の機能についての制限がありますが、今回の課題では今後の社会状況を考え、複合した機能の提案を行うこととしています。
*参考:柏市の建築協定


提出物
■第一段階(中間講評)
プロジェクト企画書(コンセプト、収支計算書など)
基本図一式(縮尺1/100程度)、求積図、面積表など
住居ユニットの1/30の模型
景観上の配慮を示す模型写真かパース
■第二段階(最終講評)
展示用のパネル(B0パネル1枚)
基本図一式(縮尺1/50,1/30)インテリアパース、周辺町並みを含む外観パース、主要部仕上げ表
模型(縮尺1/30)
建物の環境性能に対する工夫を示す図面か部分模型

スケジュール
全体:金曜1限2限 09:30-12:30@UDCK、
グループ別(随時):水曜4限5限1445-1810
4月5日(月)IEDP学内ガイダンス
4月9日(金) 10:00-12:30@UDCK オリエンテーション
+柏ビレジ自治会副会長明渡様ご紹介
+貝島桃代先生レクチャー
4月16日(金) 10:00-12:30@UDCK 第1回エスキス
4月17日(土) 10:00-12:00 IEDPサイクリングツアー(共同敷地見学会)
13:00-17:00 IEDP公開市民講座@UDCK
建築環境+都市環境+農村環境
4月23日(金) 10:00-12:30@UDCK 第2回エスキス+吉村靖孝先生レクチャー
4月24日(土) 13:00-17:00 IEDP公開市民講座@UDCK
自然環境+緑地環境+人間環境
4月30日(金) 10:00-12:30@UDCK 第3回エスキス
5月 7日(金) 10:00-12:30@UDCK 第4回エスキス+小嶋一浩先生レクチャー
5月14日(金) 10:00-12:30@UDCK 中間講評会
5月21日(金) 10:00-12:30@UDCK 第5回エスキス
5月28日(金) 10:00-12:30@UDCK 第6回エスキス
6月 4日(金) 10:00-12:30@UDCK 第7回エスキス
6月11日(金) 10:00-12:30@UDCK 第8回エスキス
6月18日(金) 10:00-12:30@UDCK 第9回エスキス+小西泰孝先生レクチャー
6月25日(金) 10:00-12:30@UDCK 第10回エスキス
7月 2日(金) 10:00-12:30@UDCK 第11回エスキス
7月 9日(金) 10:00-12:30@UDCK 第12回エスキス
7月16日(金) 10:00-12:30@UDCK 第13回エスキス(最終確認)
7月18日(日) 13:00-17:00@UDCK 最終公開講評会

指導体制
専任講師:
大野秀敏(東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)
清家 剛 (東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授)
日高 仁 (東京大学大学院新領域創成科学研究科特任助教)
特別講師:
小嶋一浩(東京理科大学教授、C+A)
東京理科大学小嶋研究室

C+A
貝島桃代(筑波大学芸術学准教授、アトリエ・ワン)
筑波大学貝島研究室
アトリエ・ワン

吉村靖孝(吉村靖孝建築設計事務所)
吉村靖孝建築設計事務所
小西泰孝(小西泰孝建築構造設計)
小西泰孝建築構造設計
アシスタント:
関谷進吾(東京大学大学院新領域創成科学研究科空間計画研究室)

協力
柏市
積水ハウス株式会社

(関連情報)
環境デザイン統合教育プログラム
柏の葉アーバンデザインセンター

単位の認定
4単位:新領域創成科学研究科共通科目:環境デザイン統合教育プログラムの一つであり、6単位を履修合格すると修了証が与えられます。
東京大学の学生であれば,新領域創成科学研究科以外,工学系研究科学生も単位取得ができます。
一級建築士試験の実務経験に相当すると(1年相当)認定されるインターンシップとそれを補完する講義、演習の一つです。
by architectstudio | 2010-04-05 16:44 | 全般